歯石に覆われた奥歯。
今回の症例は全額抜歯と言って歯をすべて抜く手術の紹介です。
慢性的な鼻炎で鼻水や鼻血が出てしまう主訴があり、その都度抗生剤や去痰剤などの内服薬で症状を散らしていく治療を今まで行ってきました。
そのような鼻炎の原因は歯がボロボロになってしまっていることでした。上の歯の真上は鼻の通り道となっており、口と鼻がつながってしまう口鼻腔瘻という状態になってしまっていました。
本来であれば手術をすぐに行い原因を取ってあげることが好ましいのですが、今回のワンちゃんは高齢とたんぱく漏出性腸症と呼ばれる病気があり、血液中のたんぱく質(アルブミン)が低い状態だったので麻酔リスクがとても高く、飼い主様と相談しながら治療を行てきました。
しかし、薬の反応が弱くなってきて日常生活に支障をきたすようになり、相談の結果手術を行うこととなりました。術前から通院による点滴などで循環をよくし、術前のステロイド薬、アルブミン製剤の投与など万全の態勢で手術に臨みすべての歯を抜去しました。
術後の経過も良好で鼻炎もよくなってきました。
よく頑張ってくれました。
膿がたまっていて、歯を抜いた穴から膿がたくさん出てきます。
上の歯を全部抜きました。根っこが複雑な奥歯はドリルで歯を分割して抜きます。
すべての歯を抜き、吸収糸で縫います。自然に溶けていくので抜糸の必要はありません。
今回特別に投与して手術に臨みました。
抜いた歯。色が黒くほとんど根っこが腐っています。